読んでいると、その時その時に感じた痛みの記憶が随所に語られ、痛みを感じることができる文章になっています。冬の喝采を読んでいて
一度退部を申し出るが、辞めないシーンがありました。
ここでは、こうつづられています。
結局、監督の恫喝と、瀬古の説得と、心の中で燠のように燻っていた陸上競技への未練のために、退部は撤回した。
未練、まだ、走りたいという気持ちが無意識にあるんだと思いました。
呪文のように繰り返される「箱根駅伝」
何度も何度も言葉を繰り返すと、良くも悪くも、行動に反映されていく。
ケガの多い選手でした。
本のあちらこちらで、詳細に語られています
大会名は、第3回健康づくり静岡マラソン大会。距離は19キロメートル。(腰のあたりが痛いな) ウオーミングアップをしていると、右側の腰から太ももにかけて突っ張るような痛みがある。
(大丈夫かな?)3キロほどジョグをする間も、鈍い痛みはとれなかった。
こういった記録と、レースの記録、練習の記録によって、その時の感じが伝わってきます。よっぽどの時、違和感を覚え始めた時。後から振り返って、当時も思い出した時、どう思ったのかな。楽しい作業ではない場面の列挙とともに、どうしても書き残したい彼の青春だったのかもしれない。
そう思いながら、読み進めています。
ようやく下巻に入ってます。